医療法人化するメリット

医療法人のメリットについては節税面ばかりが強調されがちですが、もちろんそれ以外にも多くのメリットがあります。分院開設、相続事業承継に最適、資金繰り負担の軽減などなど、経営上のメリットもありますので合せてご確認ください。

経営上のメリット

① 法人会計を採用することで、適正な財務管理が可能に!

複式簿記による厳正な法人会計を導入することで、適正な財務管理が可能になります。これにより、社会的信用が増すことはもちろん金融機関等からの対外的信用も向上いたします。

そのため新事業を興す際の事業融資も受けやすくなります。また診療所の運営自体が楽に行えるようになります。

② 事業承継がしやすくなります!

院長先生に後継ぎのご子息がいる場合に、個人診療所では事業を承継させることができず、一旦廃院となり、再び診療所を開設するという大変な作業が必要となります。

特に病院や有床診療所の場合は、一旦ベッドを返上することになりかねませんので、都道府県との折衝などで大変な時間と労力が必要です。

また、資産継承の面でも、一部づつ資産を譲渡・贈与することは実務的には大変な手間がかかります。

法人の場合は後継者を理事と社員に加えて、病院・診療所の管理者を変更するだけですので、相続対策・事業承継対策に適しています。

診療所のスムーズな事業承継には医療法人化することがベストです。

③ 積極的な事業展開が図れます!

分院や介護保険事業等への進出が可能になり、有料老人ホームや高齢者専用賃貸住宅の開設も可能になります。

医療法人制度は節税だけでなく、収入そのものを増加させることができる制度です。ドクターを雇えば、歯科医師の先生が医科の診療所を開設することも可能です。

④ 資金繰り負担が軽減できます。

社会保険診療報酬の源泉徴収がなくなりますので、資金を有効に利用できるようになります。

税務上のメリット

① 適用税率の違いで節税メリットがあります!

個人開業医の所得には超過累進税率が課されますので医業収入が多ければ多いほど税金額が高くなりますが、法人の所得には法人税が課され2段階比例税率を適用されますので個人の所得税より負担が軽くなります。

院長先生の所得は医療法人からの給与になりますので給与所得控除が適用されます。

② 所得分散が非常にしやすくなります!

個人診療所の場合ですと、所得分散といっても専従者給与として奥様など同一世帯のお身内に僅かな金額ができるだけですが、法人では院長先生の他に奥様やご家族を役員にすることで月給100万円とすることも可能となってきます。

これにより非常に効果的な所得分散ができ、毎年の所得税、住民税を大幅に節税することが可能となります。

③ 退職金の支払いができます!

医療法人は利益金の配当が禁止されていますが、医療法人に残った利益剰余金を退職金支払時に取り崩すことは、就業規則に退職金規定を設定しておけば、経費として認められます。

退職金の目安としては → 最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率(1~3倍)

また、所得税では退職金は通常の給与と区分され、税制面で優遇されています。勇退時に、退職金を受け取ることができますので、リタイヤ後の生活設計が安定します。

④ 経費計上できる範囲が広くなります!

法人化することで生命保険・損害保険の損金処理としての範囲が広がります。

個人開業の場合は院長先生本人を被保険者として保険加入しても生命保険料控除として最大10万円までしか所得控除を受けられません。

しかし、医療法人であれば契約者を医療法人にして理事または従業員を被保険者とすれば一定の場合保険料を損金算入することができます。

⑤ 赤字の繰り越し控除が7年間可能になります!

医療法人にすることで赤字(欠損金)を7年間にわたり繰越控除できます。個人の青色申告ですと3年間までの繰越控除しかできません。

一人医師医療法人の業務範囲       法人化のデメリット


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